「マハラジャ」の魅力


更新日:1998年 9月21日

前ページから少年冒険活劇と繰り返していますが、ヒーローを演じるゴビンダラは、一見太ったおっさんです(笑)
香港映画のサモハンキンポーのような愛らしい憎めない顔と、勇ましい雰囲気を持っています。
ゴビンダラの演技は自然(体)でウマいんです。
彼の演技は、ぱぁっと周りを明るくする魅力があります。
またヒロインのマニーシャもこれまたうまいというか化ける女優さんです。
この二人の演技力に映画が助けられているのも事実です。

この輝く二人の演技と同じように輝いているのが、CG技術!(皮肉)
特殊効果は如何に観客に特殊効果と思わせないようにするかというセオリーを真っ正面から無視した効果。
無理なまでに最高の?技術を導入します。
おそらく観た者の記憶に強烈に刻みつけられるのが、ライオンとの格闘シーン。
ヒーローは檻の中で自分の乳母をかばいながら2匹のライオンと格闘します。
これがラフすぎる作りで、ライオンとシーンとがマッチしないのです。
どこからか、切り取って持ってきたような。。。
この映画に関しては、コスト節減と新しい技術の導入という感じもします。

と、このように大変にラフなCGでしたが、私にとってはそれすらも肯定させるような魅力でした。

マハラジャの魅力を一言で言えば、「少年の空想・夢のようなダイナミックさ」です。

至る所にもう見慣れたはずのハリウッド映画または少年冒険活劇の要素があるにも関わらず面白かったのです。
それは、おそらく雄大なインドの地の為ではないかなと思います。
似たようなお話はたくさんあってもそれを実際の絵とするとさまざまな絵が出来上がります。
んが、一方でハリウッドや日本ではだんだんと少年冒険活劇が取り難くなってきている気がします。
例えあったとしても、それは映像の為の風景としてどこかソフィティケートされたどこか見慣れた風景です。
映像の為の風景といった印象です。なんの新鮮味もありません。
一方「マハラジャ」は総天然インドの地をそのまま撮っています。
冒険活劇の舞台としてのインドという地の懐深さとその地の雰囲気を染み込ませた人々。動物達。
そしてそれらの地は、現在なのか昔なのか分からない、時代の枠を感じさせない世界でもあります。

悪役もイキイキしていると思います。悪漢は、寸部の迷いもなく悪い。
目がギラギラしています。
これは、何も「マハラジャ」に限った事ではなく他のインド映画でも良く観ます。
一方で、ハリウッド映画でこういうタイプの悪役はご無沙汰のような気がします。
変に社会の問題を反映した悪よりも、何者にもほかならない悪。
こちらの方がすっきりとしていて、「少年」っぽくもある気がします。

無茶苦茶な論理かもしれませんが、取ってつけたようなCGでも、少年冒険活劇の世界では「ヨシ!」と納得してしまいます。
少年の図画工作のような、漫画雑誌の付録のような、ワクワクとした思いです。
現代の最先端なCG技術を利用し、費用と時間をかければ立派な映像になるでしょう。
でも、そうなったとしても面白さの質は変らないと思うのです。
特にこの「マハラジャ」においては(笑)リアルにしてどうするんですか(笑)
古井戸だけで見せちゃう映画なんです!(笑)

こういう映画は不変のもので、子供たちの為に作られ続けて欲しいと思うのですが、これは自分の世代に対する思い出でしかないのでしょうか。。よく分かりません。

いずれにせよ、この意欲作「マハラジャ」によってそういうインド映画の持つ舞台の可能性を確認する事ができたと思っています。
まあ、そーんな小難しい事考えず、大きな口を開けて笑い、ドキドキ、ハラハラさせる、そんな楽しい映画でした。

以上、今回はおしまい。


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